本記事は昔書いたものです(2019年頃)。
「大企業で働くメリットとデメリットを知りたいな」
このような疑問に答えます。
こんにちは、まさです。
みなさんは大企業で働くことのメリット、デメリットについてどう考えていますか?
私は現在大手メーカーの法人営業4年目として働いています。(東京本社勤務)
会社の従業員数は1万人以上で、世間一般では大企業と言われているところです。
大企業というと「安定的、保守的、世間体がいい」などいろいろなイメージがあるかと思います。
今回、私が大企業で3年間働いた経験を踏まえ、そのメリット、デメリットを紹介します。
この記事が就活中の方、入社を控えている方のご参考にしてください。
※大企業と言っても企業ごとに風土が違いますので、あくまで1つの例としてご覧ください。
大企業で働くメリット6選
終身雇用のため、生活が安定している。
大企業とはいえ民間企業である以上、クビになる可能性はゼロではありません。
しかし、会社の金を横領したり、技術を他社に流したりなど、極端なことをしない限り大企業ではクビにはなりません。
ちゃんと毎日会社に来て働ければ給料がもらえます。
どれだけ能力不足の人でも、多少サボろうともです。
その意味では大企業は安定的です。
中小企業だと業績悪化による解雇、外資系だと能力不足による解雇がリスクとしてありますが、日本の大企業だとそのリスクがかなり低いです。
心に余裕を持って生きれるということはメリットかと思います。
扱える金額が大きい
私の部署は年間で40億の売上を上げています。
部の人数は12人なので1人で3億円売り上げている計算になります。
大企業を相手とした営業活動を行うので自然と扱う金額は大きくなります。
その意味で「大企業に入って大きな金額を扱いたい!大きなビジネスを動かしたい!」と思っている人にはいいかもしれません。
ただ、個人的には3億円を扱っているという実感はしません。
例えば、契約書に2千万円という数字が書かれていても、実際にお札を目にすることがないため実感を持てないのです。
10億円受注という商談報告を聞いても「へー」という感じです。
取り扱う金額が大きくてもやりがいには直結しない点にはご注意ください。
(どれだけ受注しても自分の手元には1%も入ってこないというの理由としてあります。)
会社名である程度モテる
大企業に勤めていることで、ある程度女性からモテたのは確かかと思います。
「○○で働いている」と伝えて、どこの会社?と聞かれたことはありません。
大企業は安定感があってある程度年収もあると思われているのか、婚活中の女性からはウケがよかったです。
大企業には優秀な人、高学歴な人が多い
3年間法人営業としてやってきて、いろんな部署の人に出会いましたが、みんな一定以上の頭の良さがありました。
起業してもやっていけそうな人も十分いました。
同じ法人営業の人達を見ていて、特に以下のような特性を持つ人が共通して多かったです。
・ロジカルシンキング
・コミュニケーション力が高い(人に好かれるタイプが多い)
・ミスが少ない(事務処理が得意な人が多い。受験勉強をみんなしっかりやってきたからでしょうか)
また、学歴も高い人が多かったです。
私の会社には早稲田、慶應、旧帝大、MARCHなどの学歴の高い人が多く入社していました。
研修制度が充実している
大企業ならではの特徴として、研修制度が充実していることがあります。
私の会社の場合、新入社員教育として入社後6ヶ月間研修を受けさせてもらえました。(途中で長いと感じたぐらいです。)
流れとしては、共通研修(全員参加)→職種研修(営業のみ参加)→本配属です。
研修内容としては、以下のようなものでした。
・社会人基礎研修(挨拶、名刺の渡し方、Excel)
・営業研修(商談の進め方、お客様との会話の仕方、プレゼンのやり方)
・その他(TOEIC受験、工場見学)
・職場体験(1ヶ月だけ配属予定の部署で仕事を経験)
配属後もマネジメント研修やコミュニケーション研修など様々な研修が用意されています。
企業規模が大きいだけあって研修制度が高度に整えられています。
これは、日本の大企業は長期雇用を前提としているため、社会人としての基本から丁寧に教えてくれるためだと考えています。
外資系や中小企業だといきなり本配属、OJTの流れなのではないでしょうか。
研修制度が充実しているのは確かなメリットです。
年休を取得しやすい(会社によります)
他の大企業ではそうではないかもしれませんが、私の会社は年休が取得しやすいです。
昨今、働き方改革が叫ばれており、私の部署では業務が忙しくなければ普通に年休を取らせてもらえます。
人手の足りていない中小企業では、自由に年休を取ることはなかなか難しいのではないでしょうか。
大企業で働くデメリット11選
自分の代わりはいくらでもいる。
大企業には社員がたくさんいます。
自分1人が辞めても会社に大きな影響は出ません。
人材が豊富に揃っていたり、仕事がマニュアル化されているため、誰かが辞めても他の誰かがカバーできる仕組みになっています。
例えば、私が入社3年目の頃、入社5年目の優秀な先輩が退職しました。
億単位の商談を勝ち取り、本部で表彰もされた先輩です。(退職理由は、金銭的待遇の悪さ)
退職直後は、引き継ぎなどでチームメンバーの残業が大幅に増えましたが、3ヶ月もするとみんな慣れてきて業務も落ち着いてきました。
翌年には新人も入ってきて、雑務を手伝ってくれるようになり、今は逆にみんな時間的にな余裕ができています。
寂しい言い方ですが、その先輩にしかできない仕事はなかったということです。
大企業では仕事がシステム化されていたり、マニュアルが整備されていたりで誰でも一定水準以上の仕事ができるようになっています。
もし自分が会社を辞めても、組織は何の問題もなく回り続けるということに時折やるせなさを感じます。
事務処理が多い
大企業の特徴として、事務処理の多さがあります。
例えば自分の場合だと
・見積書、契約書、覚書などを作るたびに複数の幹部社員から押印をもらわないといけない。(俗に言う、ハンコリレー。幹部社員は対して中身をチェックしないのだから、なくてもいい制度だと感じています。)
・商談推進を行うために、部長へ伺いを立てるメールを書く。
・商談活動共有のための資料作成(社内向けの資料です)
・上長からの決裁取得(機器を通常より安く販売するために、毎回長い文章を書かないといけない。)
などです。
この事務処理はなくてもいいのでは?と思うことも多いです。
スペシャリストではなく、ジェネラリストとして育つ
私の会社の営業はアカウント営業です。
アカウント営業とは、少数の法人(例えば3社)の担当となり長期的に営業活動をすることを意味します。
お客様は変えられませんが扱う商材は何でもありなのが魅力です。
ただ、大企業だと商材が無数にあります。
そのため、営業としては広く浅く学習をする必要があります。
そうして、客様の話に一通りついていけるようにします。
お客様へ製品の詳しい説明(技術的な説明)が必要な場合は、担当部署から人をアサインして連れていき紹介してもらいます。
自分が主体となってお客様に製品の説明をすることはできません。
結果として、いろんなことを平均的にできるようになるという意味でジェネラリストになります。
そのため、専門的なスキルを身に付けたい方にはアカウント営業はお勧めできません。
若手の金銭的待遇がよくない
年功序列の会社では、若手の待遇がよくありません。
端的に言うと給料が安く抑えられています。
年次で給料がほぼ決まるため、若手のうちはどれだけ成果を出しても給料が上がりません。
例えば、先ほどの優秀な5年目の先輩は、給料が低いという理由で昨年退職しました。
その先輩は若手にも関わらず、卓越したスピード感からお客様の上層部からも信頼が置かれていました。
「1人で何人分の仕事をやっているんだろう」と思うぐらい、仕事のスピードが速かったです。
しかし、社内でだらだら雑談ばかりしてるおっちゃんの方が、その若手の先輩より高い給料をもらっていました。
優秀な人の給料を増やし、できない人の給料を下げるという仕組みが大企業にはありません。
さらに言えば、私の会社は残業に比重が置かれた給与体系になっていました。
つまり、テキパキ仕事をして早く帰るよりも、適当にだらだら残業した方が給料が高くなるのです。
こうなると、スピード感を持って仕事をしても報われません。(逆に給料が下がる。)
その先輩が辞めたのも無理はありません。
私の会社では、近年若手が辞めることが多くなっており、金銭的待遇を求めて他の会社に転職するケースが多いです。(仕事のやりがいのなさもあるかもしれません。)
年配者は若手に対して、ハッパをかけたり、褒めたりして仕事をさせようとします。
ただ、実際は若手が頑張れば数字が会社に上がる、年配者が楽になる、からそう言ってきます。
若手のうちからバリバリ働いて高い給料をもらいたい!という方には大企業は向いていません。
会社の給与体系が固定されているため、どれだけ成果を出しても待遇として報われないようになっています。
部署が多すぎて会社の全体像が見えない。
大企業は人も多いですが、部署も多いです。
入社4年目になりますが、まだ関わったことのない部署や見えていない部署が山ほどあります。
これだけ組織が大きいと、自分の貢献が会社に及ぼす影響も見えにくくなっています。
「自分は大きな歯車のほんの一部なんだなー」と時折やりきれない思いになります。
いい顔をしていた同期が疲れた表情になっていく
入社したての頃、一緒に研修を受けていた同期の顔は輝いていました。(研修がゆるく、定時には必ず帰れていたのもあるかもしれません。)
しかし、本配属後に忙しくなったり、地味な業務を繰り返し行っていく中でみんな覇気のない顔になっていきました。
研修で学んできたことや、イメージしていた営業の仕事とは違い、実際は地味な業務ばかりです。
組織が縦割りのため、他の部署を手伝うインセンティブがない。
一般的に大企業は縦割り型の組織になっています。
縦割り型とは、各部門・各部署で業務範囲が決まっている組織のことです。
縦割りのデメリットとして、他部署の手伝いをするインセンティブがない、ということがあります。
例えば、私が担当しているお客様から「御社が○○銀行に提供した金融ソリューションの情報提供をしてほしい」と以前相談されたことがあります。
金融部門の営業、システムエンジニアに情報提供を依頼しましたが、反応がよくない感じ。
なんとか時間を取ってもらい話を聞くことができましたが、「早く終わらないかな」という雰囲気を醸し出されました。
彼らにとっては、打ち合わせをすると帰るのが遅くなってしまいます。
他部門の人間を手伝っても評価や給料アップに繋がらない仕組みになっています。(上司からの評価のみで給与が決まるため。)
また、別件ではメールで連絡しても返信がなかった部門もあります。
このように他部署との連携が難しいのが縦割りのデメリットです。
大企業ゆえに大手法人顧客の対応のみで売上が立つ。開拓精神がない。
今の担当顧客とは30年以上の付き合いのため、何もしなくても引き合いの仕事をもらえます。
営業として数字のノルマは半期ごとに立てますが、引き合いの仕事をこなすだけで数字を達成できるため、自分から新しいお客様を開拓したり、訪問したりはしていません。
「新規開拓もしないのに自分は果たして営業と言えるのか?」と思うことがよくあります。
みんな人事の話ばかりしている。出世ぐらいしか目標がない人が多い。
年配の方々は人事の話ばかりしています。
「社内の誰々が昇進した。あそこの部署に異動になった。○○会社のマネージャーが降格になったらしい。」...などです。
ずっと長期雇用の会社で働いていると、人事や出世ぐらいしか興味関心がなくなるんだと思います。
評価は上司次第
新しいビジネスを作るぞ!とか、お客様のために何ができるか考えよう!などという思いはなく、どうやったら出世できるかという方向にみんな頭が働いているようです。
目上の人が読むような社内資料だけは丁寧に作ったり、幹部社員に気に入られるように努力している人が多い傾向にあります。
仕事に飽きてくる(大企業とは関係ないかもしれません)
3年間営業として働き続けるとだんだん飽きてきます。
入社した当初はできないこと、分からないことだらけで全てが新鮮でした。
失敗することもありますが、新しいことに取り組むことの喜びの方が大きかったです。
しかし、4年目になる頃には一通り仕事のやり方が見えてきます。
「最終的にこうなるんだろうなー」というゴールが見えてきてしまいます。
答えのわかっている作業を行うことは退屈です。
最近は「チャレンジングなタスク」がただの「作業」になってしまいました。
まとめ
今回、私の経験を元に大企業で働くメリットとデメリットを書かせていただきました。
途中ぐちも入っていたかもしれませんが、何卒ご容赦ください。
これから大企業で働こうとされている方のご参考になれば幸いです。